岩茶と単叢用の茶壺はどこにあり?

お茶を味わうことについて、中国には「水はお茶の母であり、器はお茶の父である」ということわざがあります。水と茶器の質が茶葉の抽出効果に非常に大切であることを説明しました。中国茶には6つの分類があり、異なるタイプの茶葉は品種、栽培条件、摘採、生産加工技術の違いにより、その抽出方法もそれぞれ異なり、特に適切な茶器を選択することは非常に重要です。香りが強く、滋味がまろやかな特徴で知られる岩茶や単叢には、適切な茶器で淹れることが大切です。不適切な茶器は茶葉の抽出効果に大きく影響するからです。現在、中国では、岩茶と単叢のような烏龍茶の抽出には主に蓋碗と茶壺という2つのタイプがあります。

蓋碗の材質は高温で焼成された磁器であり、蓋碗の内·外表面に釉薬が施されており,蓋碗内の茶湯と水蒸気が内部に隔離されており、外に漏れません。理論的には蓋碗が茶湯の本来の味を最もリアルに保つ茶器です。この理由で専門的な茶葉等級の評審員達はずっと磁器製の蓋碗または磁器製に似たような評審杯を使っています。茶壺の代表は宜興紫砂壺と潮州朱泥壺があります。宜興紫砂は明代から、現地の黄龍山の豊かな紫砂鉱石を用いて茶器を作る歴史を切り開きました。紫砂は様々な種類の鉱石の総称であり、ある鉱石を指すわけではありません。天然の様々な紫砂鉱石が様々な色を呈しているため、焼成後の紫砂壺は、また別の多彩な色を呈しており、紫砂も「五色土」と呼ばれています。天然紫砂鉱石は通気性があるが通水性がないという特徴があります。中国民間では紫砂茶壺内のお茶が夏でも1週間置いても変質しないと伝えられており、紫砂の「空気を通すが水を通さない」という特徴を重点的に説明しています。

紫砂茶器の生産地は中国の江蘇省無錫市に属する宜興地区であり、この地は宋朝の時代から中国の経済上で最も豊かで文化に於いては最も繁栄していた江南地区です。数を数え切れないな文人と知識人が紫砂壺を好きで、書道、彫刻などの芸術表現を紫砂壺の作り上に移転したことから、紫砂壺は純粋な茶器に限られず、一種の文化芸術体でもあります。中国の文人と知識人の審美の趣きを表しました。江南茶の地域は主に緑茶が主流で、香りが高く味の濃い烏龍茶と比べて明らかにあっさりです。宜興紫砂茶壺の数百年の歴史の中で、緑茶の抽出はその主流といえます。清代に烏龍茶の生産が始めてから、烏龍茶産地の福建と広東の茶人たちは岩茶と単叢用の茶壺に対してより高い性能を求めました。紫砂の通気性は緑茶の茶湯の新鮮さを保つのに役立つかもしれないが、烏龍茶にとっては通気性は逆に魅力的な香りを失ってしまいます。また,紫砂鉱や製造プロセスの制限を受け,紫砂茶壺のサイズは小さすぎてはならず、容量は一般に150 CCを下回りません。烏龍茶の抽出では茶葉と注入水の割合は1:12程度であるため、一般的な投茶量が8 gの場合,比例の水容量は96 CC程度です。そのため、宜興紫砂の体積は明らかに大きいです。体積が大きい場合には茶壺の放熱面積も増加し,高温抽出を必要とする烏龍茶にとっても不利です。

(宜興紫砂壺の特有の「打身筒」の製造工芸)

清代中期から、潮州の職人は宜興に行って紫砂茶壺の製造技術を学び、彼らは潮州で宜興紫砂に似た特徴の潮州朱泥を見つけました。潮州工夫茶に対する理解と岩茶及び単叢の長年の抽出経験によって、宜興紫砂壺の伝統型の改良を行いました。薄胎,型が小さく,密封性が強く,壺口から茶湯が出るのが速いなどの利点を集めた潮州工夫茶壺を作り出しました。潮州工夫茶壺の独特の手作り成形方法も中国政府に中国無形文化遺産と評定されました。潮州工夫茶は中国茶道の生きた化石であり、主に当地の単叢と武夷山の岩茶を抽出します。潮州工夫茶も一人一人の潮州人の日常生活に深く根付いています。潮州では茶のことは「茶米」と呼ばれ、茶は米と同じように重要とされています。このようなお茶を完全に生活に溶け込ませている場所では、作られた茶壺が最も人間味があり、最も期待されています。

(潮州朱泥壺の特有の「手工拉胚成形」の製造工芸)