手作り木質味百年老樅水仙

古井山場は、武夷山の正岩核心産区である慧苑坑の密林深部に位置し、非常に秘匿性の高い老樅水仙の産地です。このエリアは中華人民共和国成立後の初期に生産隊の管理下に置かれ、現在まで多くの百年を超える古木が保存されています。正岩産区の中でも歴史と原始的な風土を最も色濃く残す貴重な山場です。古井の名は、かつて密林の奥に存在した古い井戸に由来します。この場所は長年の間人の手がほとんど加わらず、森は高く深く、湿度が非常に高いため、茶樹には苔や寄生植物が自然に繁茂し、青苔、海苔、ヨモギ、蘭など、多層的で複雑な香味を備えた水仙茶が育まれています。さらに地下には火山岩の風化によるミネラル豊富な水脈が通っており、茶葉に清らかで奥深い味わいを与えています。
今回ご紹介する【古井百年老樅（木質味）】は、古井山場の中でも日照時間の多い場所に育った特別な百年老樅水仙から作られました。これらの茶樹は他の密林区域に比べて非常に高く育ち、太陽の光を多く受けているため、苔があまり付着していません。この環境は、茶樹の栄養輸送にとって非常に有利で、幹から葉へと豊富な栄養がスムーズに送られます。また日照により木質由来の香気成分も蓄積され、焙煎後の茶葉は非常に明確で力強い「木質味）」を備えるようになります。
この水仙の茶湯は、落ち着いた香気が静かに広がり、まるで上質な白檀のような柔らかで優雅なウッディアロマが口いっぱいに広がります。繊細ながらも芯のある味わいは、温かく、深く、そして安らぎを与えてくれる存在感があります。従来の古井老叢に備わる青苔香、ヨモギ、蘭、海苔といった特徴的な香味も保持しつつ、全体的により清澄で、澄み切った印象を持ちます。「陽光を浴びた老叢」の風格が、ここに見事に表れています。
私たちは、この「古井百年老樅（木質味）」を、百年老樅というカテゴリーの風味基準のひとつとして提案したいと考えています。岩茶の世界では、肉桂のように力強く濃厚なタイプがある一方で、老樅には繊細で持続性のある風味が求められます。本品はまさに、派手さを競うことなく、その静けさと奥深さで人を魅了する“控えめな贅沢”の体現であり、老樅水仙が持つ真の魅力を教えてくれる一杯です。

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